十日町市の山中で自然栽培を実践する米農家
十日町市の山中にあるぬながわ村農園は、自然栽培にこだわる米農家。同農法の3箇条「農薬を使わない」「肥料を撒かない」「圃場をなるべく耕さない」を守り、自然にあるがままの水田にて米を育てている。栽培する品種は、新潟県で広く栽培されていた「従来品種コシヒカリ」や、山梨県の農家が自家用に作っていた「農林48号」、有名なササニシキの親にあたる「ササシグレ」といっためずらしいものばかり。それぞれ、友人・知人を通じて譲り受け、ほんのわずかな種籾から出荷できるくらいの量まで増やした。生産米はFacebookを通じて直接販売をしており、オーガニック食品を嗜好する人に高い人気を誇っている。
棚田で行う昔ながらの農作業
ぬながわ村農園のある十日町市木和田原地区一帯は、まさに山中にある地域だ。この周囲に作られる水田は、斜面において階段状に形成された「棚田」。一枚一枚の水田が狭いため生産効率は良くないが、収穫できる米は豊かな自然に育まれることで格別の味わいになる。この環境において、ぬながわ村農園の宮原さんは、有機農場にて学んだ経験を生かし、昔ながらの米作りに挑戦している。田植えは手作業で一本一本植え、刈り取った稲は稲架木(はさぎ)に掛けて2週間ほど自然乾燥。一部の種籾は次年度に栽培する稲とするべく保存する。「80歳くらいの人が懐かしいと感じる農法だ」と宮原さんは笑う。作業にはとても手間のかかるが、自然の中で育った米は食の安全と美味しさを両立させた絶品米だ。
ササシグレはササニシキの親にあたる品種で、味わいは淡泊で柔らかいあっさりとした食感が特徴です。
ササシグレは現在、知る人ぞ知る希少品種となってますが、昭和36年代ごろには、東北地方で第一位の栽培面積を記録したことがあります。しかし、昭和38年あたりを境にしてササシグレのこどもにあたるササニシキにその座を譲り、昭和46年以降はほとんどの田んぼから姿を消しました。
現在では、ごく一部の農家がササシグレを栽培しており、
ぬながわ村農園でも2018年より栽培に取り組んでおります。